受賞者と題名

各研究の概要

英作文支援のための日英対訳パターンの自動獲得

坂上信也

近年すさまじいスピードで世の中のグローバル化が進み、英文を書く機会が増えてきています。しかし、ノンネイティブな人にとって英文を書くということは簡単なことではなく、誤った英文、意図していない英文を作成してしまうことが多々あります。

このようなニーズに対応するために、馬研究室では英文作成を支援するシステムである「英作文支援システム」の開発に取り組んでいます。英作文支援システムとは、翻訳ソフトなどのように「文全体」を日本語から英語にするシステムではなく、「文の一部」を日本語から英語にするシステムについて研究を行いました。

しかし、これまで開発されてきたシステムには、支援対象が限定的で動名詞句や不定詞句などのような様々なパターンに対応できないという問題があり、本研究ではその解決法として日英対訳パターン辞書を構築しその辞書を介在して英作文支援を行う手法を提案し、パターン辞書作成するために必要となる対訳表現の大規模な抽出にまず取り組みました。

対訳表現の抽出手法は、先行研究の手法を参考にした手法に加え、抽出数と精度を向上させるためにいくつかの改良を行いました。

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テンプレート自動生成によるピアノの和音ピッチ推定

新宅知子

本研究では、ピアノで演奏された楽曲を取り込み自動でテンプレートを生成し、自動生成したテンプレートによるテンプレートマッチングでピッチ推定を行う。ピッチ推定に重点を置いているため音符長などの検出は行わない。

楽曲から楽譜情報を取り出すことを自動採譜といい、現在までに多くの手法が考えられている。その多くの手法の中でよく使用されるのが、楽器の各音程の基音に対する倍音の比率を示したテンプレートである。ピアノやヴァイオリンなど音程のはっきりとわかる楽器の音を周波数軸上の振幅スペクトルで表すと、ある周波数の整数倍ごとに大きな振幅値を持っていることがわかる。そのある周波数を基音といい、その整数倍の周波数を高調波や倍音と呼ぶ。自動採譜では基音に対する倍音の比率を記憶したテンプレートと、検出対象となる楽曲のスペクトルを比較することによってピッチ推定を行うことが多い。しかし同じ種類の楽器でも個体差によって基音に対する倍音の比率は全く異なる。さらに同じ個体でも音程によって倍音の比率は全く異なるため、テンプレートを使用する場合その楽曲を演奏した個体を特定し、楽曲に使用されている音程の数だけテンプレートを生成しなければならない。しかし楽曲を演奏している楽器を特定することは通常不可能であり、特定できたとしても生成しなければならないテンプレートの数が多いため大変である。そこで本研究では、検出対象の楽曲からテンプレートを自動生成しピッチ推定を行った。

楽曲の中で各音程に一つでも他の基音や倍音の影響を受けないもの(例えば単音で鳴っている場所)があれば、正しいテンプレートを生成できるはずである。そこでまず楽音だと思われる音を探し、その基音と倍音から比率を計算しテンプレートサンプルとして記憶しておく。次に、収集したテンプレートサンプルを同じ音程同士でまとめ、任意の方法でテンプレートを生成する。サンプルから任意の方法で選ぶのは、サンプルの中には他の音程の基音や倍音の影響を受けているものがあるからである。本研究では比率を昇順に並べ前から3割値、中央値、前から7割値の3種類の選択方法でテンプレートを生成した。

結果として、中央値でテンプレートを生成することがほとんどの場合最適であるが、楽曲によっては中央値では評価がさがるため、改善が必要であることが分かった。本研究で問題としていた同じ種類の楽器でも同一テンプレートで正しく推定することができないという点では、自動生成テンプレートによるピッチ推定の誤検出数が固定テンプレートよるピッチ推定の誤検出数より5割近く減少し未検出数も2割減少したため、自動生成が有効であったと言える結果となった。

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葉序的および非葉序的な三角形の相似タイリングと折り紙

須志田隆道

葉序は,植物の葉や種の螺旋模様の研究のことである。ひまわりの種などに見られる螺旋模様はFibonacci 数や連分数,黄金比と密接な関係がある。

葉序の螺旋模様にヒントを得た日詰明男氏が2005 年にFIBONACCI TORNADOと呼ばれる三角形の相似タイリングを考案した。さらに,日詰氏は葉序的な折り紙,タワーなどを考案した。2009 年には,連分数の理論を用いて,回転角を任意の正の実数まで広げた。これによりさまざまな三角形の相似タイリングを考えることができた。

本研究では,「一元生成で無限位数の相似変換群が推移的に作用するタイリングは何か。」という問題意識の下で,三角形の相似タイリングについて以下の問題を考えることとした。

Question A-1
どのような三角形が相似タイリングを作るか。
Question A-2
三角形の相似タイリングの生成元は単位円板内にどのように分布するか。
Question B-1
三角形の相似タイリングを折り紙で制作する場合に必要となる折り紙展開図はどのように与えられるか。
Question B-2
どのような三角形の相似タイリングであれば,その折り紙展開図が1枚の紙に収まるか。

すべての問題に対して数学的なアプローチを試み,QuestionA-1からB-1までは結果を得ることができた。QuestionB-2に関しては数学的な結論が得られていないため,今後の課題として挙げられる。

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微粒子による光散乱理論の数値的検証

中村宏

空が青く見えるのは,大気中のエアロゾル粒子によって太陽からの光が散乱されるからである.本研究では,レイリー散乱とミー散乱の二つの散乱に着目する.

本研究では,光の散乱における散乱強度の数値的検証と光波が粒子に衝突したときの光波の可視化を目標とする.ここで,散乱状況を再現するにあたって設定するパラメーターは、粒子の大きさ,誘電率,透磁率,波長,粒子から振幅値を観測する地点までの距離である.検証するにあたって,まずエアロゾル粒子の誘電率と透磁率を水に対応する値とし,光波が粒子に衝突したことによる振幅の変化を数値計算し,レイリー散乱とミー散乱を再現した.

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ランダムタイルモデルに現れる境界曲線の導出

前場克美

ある領域内に同じ種類のタイルをランダムに貼り合わせていったとき、どのようなパターンが得られるかを解析するのがランダムタイルモデルの課題である。近年の研究により、ある条件下においてタイルのパターンが境界曲線を境に分けられることが分かってきた。この現象を理解するためには、タイルモデルをダイマーモデルに対応させて考える必要がある。

最近、Kenyon と Okounkov によってランダムタイルモデルに現れる境界曲線を具体的に求める手法が提案された。ランダムタイルは3次元 Young 図形と見なすことができ、3次元図形表面の極限形を複素バーガース方程式を解くことによって求めることができる。ここで3次元 Young 図形とは、3次元空間に立方体を原点から隙間なく埋めていったときに見られる図形のことである。しかしながら、様々な境界条件のもとで図形の方程式を具体的に求めることは行われていない。

本研究の目的は、様々な境界条件のもとでの図形の方程式を具体的に求めることである。具体的に、2次式で表される楕円の方程式、4次式で表される心臓型(カージオイド)の代数曲線の方程式を求めることを目標とする。

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Last Modified: Friday, 17-Mar-2017 18:56:59 JST