受賞者と題名

各研究の概要

iPhone用ランニングサポートアプリ

内野洸

現在フリーでダウンロードすることの出来るランニングサポートアプリケーションでは、高度差によるエネルギー消費量まで含めて計算されていない事に筆者は気が付いた。そこで、高度差によるカロリー消費量まで含めた本アプリケーションを作成することで、多くのランニングを行う方に、より正しい情報を得て頂き、充実感のあるランニングをしていただきたいと考え、この研究をするに至った。

本アプリケーションはGPSを使用することで、現在地や高度を取得し、そのデータからカロリー計算を行うことにより、どの程度の運動を行ったかを確認することを主な目的とした、iOS搭載機器で使用可能なランニングサポートアプリである。

坂道を走った場合に、人間にはどのぐらいの負荷がかかるかを国立感染症研究所の身体活動のMets表のデータを使用し、エネルギー消費量を求める。また、物体にかかる位置エネルギーを求め、人間の坂道にかかるエネルギー効率(37.3%)を導きだした。本アプリケーションは、その値を使用してカロリー計算を行っている。

高度差によるカロリー消費量まで計算してくれるアプリケーションを完成されることができたが、ランニング中は常にアプリの画面を表示させ続けなければいけないという仕様のため電池消費が激しいという課題も残った。

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CHomPによるホモロジー群の計算を利用した迷路解析

粕渕優介

図形とは三角形や四角形・球など多種多様な図形があるが、その多様な図形を区別する方法がある。それはホモロジー群である。トポロジーでは「図形を切り貼りせず連続変形してぴったり重ね合わせることができれば同じ」であるが、これだけでは複雑な図形が重ね合わせることができるか見た目では分からない。しかし、ホモロジー群を求めることで図形の特徴を数値化し代数におくことで同じ性質を持つ図形かどうか判定できる場合がある。そこで、この手法を迷路解析に生かせないか考えた。

解法(ゴール)のある簡単な迷路のホモロジー群から少しずつ条件を変化させ解法がないもの、迷路内部に孤立する壁が存在するものなどを生成し,ホモロジー群の計算を多数の迷路にて考察した。また、同時にそれらと同値なホモロジー群である迷路を生成し結果に違いがないか考察した。この際にホモロジー群を求めることのできる「CHomP」というソフトウェアを活用することで、複雑な迷路に対しても正確かつ効率的に代数化できた。

上記のことを利用し命題をたて、解法のある迷路や、一方で解法がないような迷路についての十分条件を調べることができた。また、解法があり内部に点在する壁が複数個ある場合について迷路の解の数がどうなるか調べた。その結果、解法があり迷路内部に存在する壁の数がn個のとき、迷路の始点から終点に向かう解の種類は2n通り存在するという結論を得た。

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区分解像度解析を用いた学習型超解像

杉井勇貴

超解像とは,入力画像を高画質・高解像度に変換する技術である.通常,画像を拡大する際には画素の補間が行われ,輪郭やエッジがぼやけたような画像になってしまう.これは,拡大時に適切な画素が補えないことが原因である.それに対して超解像では,画素の補間法では表現できないような輪郭やエッジを補間することによって高画質・高解像度を実現する.

本研究では,学習型超解像と呼ばれる手法を用いて超解像を行う.学習型超解像では,あらかじめ用意した学習画像から画素の局所的な変化パターンを学習する.そして,この学習された情報を用いた画素の補間を行うことによって超解像を実現する.

本研究では,学習画像の変化パターンを取り出すために,解像度解析を用いた.解像度解析を行うことによって1つの学習画像から,その画像の局所的な特徴を表す複数の16次元ベクトルが生成される.このような16次元ベクトルの集合を辞書と呼ぶ.辞書には学習画像の局所的な情報が列挙されることになる.超解像を行う際は,入力画像の局所的な特徴と類似している辞書情報を用いて画素の補間を行う.

解像度解析を用いた手法と多重解像度解析を用いた手法では,学習画像の枚数を増やしても精度が上がらなかった.また,学習画像の枚数が増えると,辞書が大きくなり探索に時間がかかる.そこで,超解像を行う際に,領域ごとに適切な辞書を選択する区分解像度解析を用いた手法を提案した.区分解像度解析では,学習画像と入力画像に対して領域分割を行い,領域ごとに辞書を作成する.適切な辞書を選択するために辞書間の距離を求めた.そして最も距離が近かった辞書を適切な辞書として超解像を行った.

実験は3通りの学習型超解像について,一般的な画素の補間法(NN法,Bi-Linear法,Bi-Cubic法)との比較実験を行った.評価は,超解像画像と縮小前の入力画像との平均2乗誤差を求め比較した.平均2乗誤差では,全ての学習型超解像がBi-Linear法,Bi-Cubic法に劣った結果となった.しかし,主観的な評価をすると全ての学習型超解像がNN法よりも輪郭がはっきりと表現できた.全ての学習型超解像で,画像全体に余計なノイズが生じた.3通りの学習型超解像を比較すると,区分解像度解析を用いることで全体的に精度が上がった.さらに精度を上げるためには,辞書の選択方法を改善する必要がある.

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粒子セルオートマトンのラグランジュ表示生成

樽角政樹

セルオートマトンとは、セルと呼ばれる格子の内部状態が時間発展により単純な規則に従って変化していく離散的計算モデルである。

1次元に連結したセルの内部が0/1の2状態を持つセルオートマトンのことを、1次元2状態セルオートマトンと呼ぶ。また内部状態の1を粒子と呼び、時間発展により粒子の個数が変化しないセルオートマトンを粒子セルオートマトンと呼ぶ。本研究では粒子セルオートマトンのみを扱う。

セルはルールと呼ばれる単純な規則により変化するが、ルールからでは粒子の移動規則を判別することは困難である。この問題を解決するためにルールをラグランジュ表示することで粒子の移動規則を明らかにすることが本研究の目的である。

ルールをラグランジュ表示することによってルールからは判別できない粒子の移動規則が明らかになれば、粒子移動に確率を導入することが可能となる。つまり、確率付きセルオートマトンの生成が可能となる。

研究の結果3,4近傍の粒子セルオートマトンは同一の手法でラグランジュ表示に変換可能であった。しかし、5近傍の粒子セルオートマトンは一部しかラグランジュ表示に変換できなかった。

今後の課題として、5近傍の粒子セルオートマトンのラグランジュ表示の生成が目的である。

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回転体学習支援Webアプリ

常塚政成

本研究では、中学生が苦手としている回転体の分野の理解を深め定着させるためのWeb アプリを作成した。ユーザは、このWeb アプリを用いて授業する教師自身または回転体を学びたい人全員である。苦手にしている原因の一つとして、授業で用いる黒板が平面ということもありその平面で空間図形を表そうとしているからである。黒板もWeb も平面であるが、残像を残すことができる点でWeb の方が優れている。本研究は、回転体の学習1、回転体の学習2、回転体の学習3、小テストの4 つのコンテンツから成り立っている。

回転体の学習1は、3次元エリア、2次元エリア、ボタンエリアから成り立っている。まず描きたい図形を選択して2次元エリアに図形を描く。2 次元エリアで描いた図形を即時に3次元エリアへプロットされる。図形が完成すると、3次元エリアで回転させる。3次元エリアではカメラの位置や回転後の図形の大きさなどを変化させることもできる。

回転体の学習2は、回転体の学習1 とほぼ同じであるが、URLを用いて座標や描きたい図形決めているのでより正確な図形を描くことができる点が相違点である。

回転体の学習3は、GeoGebraという既存のソフトのプログラムを作成することにより、平面上で回転しているアニメーションを見せる。まず三角形の頂点の位置をキーボード入力か、マウスドラッグで決める。頂点の位置が決まると、「残像を残す」ボタンを押して「回転」ボタンを押すとアニメーションが始まる。

小テストでは、回転体の学習1、回転体の学習2のシステムをMoodle の小テストモジュールの問題に埋め込んでいる。問題内容は、中学校で学習する円錐、円柱、球に加え応用としてトーラスとなっている。四角形や三角形の回転は、様々な形にして円錐や円柱のようにならない複雑な回転体になる問題も作成している。学習者である生徒がこの問題に答えて理解度を高めていく。

本研究の評価者を同じ大学の学部生にした。用途によってそれぞれのソフトを使い分けることができるという意見やオリジナルのツールを増やすことで幅広い図形を描くことができるという意見もあった。

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文ベクトルを用いた文脈考慮型人工無能

中野友貴

人工無能とは、ユーザーの入力文に対して、人工無能のもつ辞書データやアルゴリズムによって文を生成し、返答するコンピュータプログラムのことである。本研究では文脈考慮型のマルコフ連鎖型人工無能を作成した。

まず、形態素を単位とする単純なマルコフ連鎖型の人工無能を作成し、様々な文章から形態素間の遷移確率を求め、それをもとに文を生成させた。文語の小説と口語文のニュース記事、それぞれを用いて文生成を行った。この単純な人工無能の作成によりマルコフ連鎖で文を生成する際には、もととなる文章の性質が重要であることを確認した。

既存の人工無能では、文脈に基づいて会話ができるものは少ない。そこで、文脈を考慮して返答ができる人工無能の作成を行った。本研究では文の意味を捉えるために、文に出現する語による文のベクトル表現を行った。さらに、このように作成された文ベクトルを過去のn文に対して重ね合わせることによって、過去n文での文脈を表現するn次の文ベクトルを生成した。このn次の文ベクトルから、最も寄与率の高い語を抜き出し、この語をもとに返答文を生成することで、文脈を考慮した人工無能を実現した。

マルコフ連鎖で文を生成するときに、重要となるのが連鎖の開始文字である。文ベクトルをもとに決定した重要な語から前後に連鎖させることで、開始文字を固定することなく文生成ができるようにした。これにより、重要な語を任意の位置に入れることができ、返答文の幅が広がった。

ニュース記事をもとに作成した人工無能で文を生成すると、小説をもとにしたものに比べて会話らしい短い文が生成できる。しかし、ニュース記事には様々な話題があるために、1文の中に複数の話題が含まれてしまう。そこで会話文をもとに文を生成することで、さらに短く意味の通った返答文を生成することができた。さらに会話らしくさせるためには、確率データの充実や、未知語の学習機能などをつけるといったことが課題として挙げられる。

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日本語文章作成支援

藤田いづみ

今日、人は新聞や雑誌、テレビやインターネット、SNS等から様々な情報を得てい る。そしてそれらの情報媒体では必ず文章を用いており、その文章は知識を得る情報形 式の一つである。また、文章の内容は使用する文字や表現方法によって難しくも簡単に もなり得る。

本研究は日本語文章を作成するにあたって、書き言葉について読み手が読みやすく理 解しやすい何かしらの特徴がないかを見つけることを目的としている。そして、見つけ た特徴を用いて非常に単純ではあるが、日本語文章の作成を支援するシステムを作成し た。

研究方法として、特徴となりうる7つ(文節数、連続する名詞の長さ、漢字の占める割 合、外来語の占める割合、漢字の出現頻度、外来語の出現頻度、単語の出現頻度)を考え た。そして毎日新聞データとWeb日本語Nグラム第1版(1グラムデータ)を利用して各特 徴に対し以下のことを行った。

  1. データを用いて、各特徴の平均を求める
  2. 平均を参考に被験者12名に協力してもらい、閾値を仮定
  3. 読みやすく理解しやすい文か判定するための閾値の検証

研究結果は、考えた7つの特徴の内、6つは読みやすく理解しやすい書き言葉かどうか の判定基準になりうると考えられた(詳しい値に関してはスライドを見てください)。

今後の研究として、日本語文章作成支援に対して新たな知見を得るためにも新たな特徴 を見つけることや、特徴同士の相関関係について調べることが課題になると考えられる。

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コピペレポート発見システム

古川貴裕

本研究は、コピペレポートを発見するシステムの作成を目的としている。Webページから一定の割合以上コピー・アンド・ペーストしたレポートをコピペレポートと定義する。

GUIを備えた先行研究と類似度を求める手法の先行研究の長所を取り入れ、さらにユーザが使いやすいような改良を行い、類似度を求める新たな評価式を提案した。本システムはGUIを備え、入力がレポートと検索クエリ、Webページの取得数で、出力がWebページとの類似度とWebページのURL、一致箇所である。与えられた検索クエリを用いてWeb検索を行い、取得数分のWebページを取得する。次に、レポートとWebページの類似度を計算し、最後に一致箇所の探索を行い、結果をユーザに示す流れである。

試験的に作成したレポートを用いて、本システムの評価を行った。結果として、各レポートの類似度はコピペした割合におおよそ対応した値が得られた。しかし、1つのWebページからのコピペ割合が小さいと、類似度からはコピペ元を特定できずコピペレポートか否かの判断が難しい場合があった。その場合には一致箇所を見て、まとまった一致箇所があればコピペレポートとみなすことができる。提案した類似度評価式は、レポートがWebページからの完全な抜粋であった場合に類似度をより高く評価させようというもので、その目的は果たせたが、コピペ元との類似度はより高く、非コピペ元との類似度はより低くという基準では現行の類似度評価式にやや劣った。

今後の課題として、コピペ箇所の少ないレポートも判定できるようにするため、オリジナルのレポートの類似度を下げる工夫が必要と考える。オリジナルのレポートでもある程度の類似度があるのは、どの文章でも現れる表現が一致していることが一因と考えられる。そのため、そのような頻出の表現を削除して、類似度評価を行うことが考えられる。また、複数ページからのコピペにも対応した類似度を示すシステムとなればより実用的である。

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ビーズ多面体

馬関彩名

ビーズとは、「糸を通す穴の空いた飾り玉」である。一般的には手芸用に利用 されることが多いが、最近では化学と数学を結びつける問題として興味が持た れている。数理的なビーズ曲面として、堀部和経氏による数多くの作品がある。

ビーズ曲面を編む際に、糸の通し方として様々な条件が考えられる。本論文で は、堀部和経氏の作成方法に基いて、4つの条件を考えた。この条件下で、どん なビーズ多面体が実現できるかを調べた。また、作成されたビーズ多面体が凸 となるかを調べた。

検証した多面体は、プラトンの正多面体(正四面体、立方体、正六面体、正八面 体、正十二面体、正二十面体),半正多面体4個(20・12面体、立方八面体、小菱 形立方八面体、切頂四面体),そして、等辺でない多面体4個(三方四面体、三方 八面体、四方六面体、凧型24面体)である。

本研究では、4つの条件のうち、「ビーズ玉で一面ずつ完成させながら作製する」 「頂点上で糸を交差させない」という条件に注目した。20・12面体、立方八面 体、小菱形立方八面体の3つの半正多面体は、「一面ずつ完成させていく」作成 手順を守ろうとすると、いずれも、ある三角形の面を完成させたあと、次の面 に移る際に、頂点上で糸が交差することが避けられなかった。一面ずつ作製す るという条件を外すか、あるいは一つのビーズ玉に3回糸を通すことによって、 頂点上で糸が交差しないように編むことができた。

 また、凧型24面体のビーズ多面体は、立方体の形となった。さらに、等辺で ない「三方四面体」「三方八面体」「四方六面体」「凧型24面体」のビーズ多 面体は、凸でないことがわかった。この場合、辺の長さに合わせてビーズ玉の 大きさを調整することによって凸なビーズ多面体を作ることができた。

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トレス作業補助Webアプリケーションの作成

矢田貴子

近年、絵を作成する方法として、コンピューターの利用が普及し、有償無償問わず数 多くの描画ソフトが利用されている。その中でトレスとは、かつてトレーシングペ ーパーと呼ばれる半透明の紙を用いて行われていた図の上から透かしながらなぞる描 画方法であり、現在描画ソフトによってコンピューター上でその作業が行えることか ら見直されている技術である。

トレスというのは元画像があり、それを下地にしながら線を書き加えるだけで別の絵 を作成できる。又、イラストでなくともオリジナルのロゴの作成や絵を描くことに興 味のある人にはトレスというのは作業として体験しやすいのではないかと感じた。

本研究は、親しみのない人や何か絵を描いてみたい人のイラスト作成を対象とし、絵 を描くことの敷居を下げるトレス作業を補助する機能を持つWebアプリケーションの 作成を目的としている。

本研究では入力画像をラスタ画像に限定し、ベクタ画像で出力するようにした。

入力画像としてラスタ形式を選んだのは、一般的に画像ファイルとして扱われてい るのがラスタ画像であり、トレス元の入手が容易であると考えたからである。

出力画像としてベクタ形式を選んだのには本研究がトレスによって線画を作ること を想定していることから、2つの理由がある。

  • ベクタ画像は改変、編集が容易であり、ラスタ画像のように拡大縮小による画像デ ータの劣化が起きない。
  • ベクタ画像はアンチエイリアス等の処理を行わなくともシャギーなどの問題が発生 しない。

入力画像が白黒画像かつ線が複数本重ねて引かれていない単純なものであれば一通り のトレス作業においての工程は実現できる。さらに、自動で色を白か黒(線画)のベ クタ画像に変換をする前、ユーザーにとって不要な色(部分)を指定して消す処理を 用意した。他にも画像に行える処理を複数用意しておくことで、ベクタ画像への変換 の前処理をユーザーに選んでもらうようにした。

今後の課題として、SVGのパスを操作する際に、ノードについて分割や連結等の操作 を加え操作性を改善したい。

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Last Modified: Saturday, 18-Mar-2017 16:21:40 JST