京都駅前セミナー

〜非線形現象の数理を考える〜



☆セミナー世話人(発起人):森田善久, 小川知之

☆協力:龍谷数理科学インスティテュート



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  • ◎第31回

    日時: 平成23年 2月23日(水) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 坂元 国望(広島大学大学院理学研究科)
    時間 14:00〜15:30
    題目 拡散誘導不安定性 - 3変数系における Turing-不安定性と Turing-Hopf-不安定性
    概要

    1952年に発表されたTuring の論文は、2変数反応拡散系の定数定常解の拡散誘導不安定性研究の端緒として 引用されることが多いが、そこでは3変数系におけるTuring-Hopf 不安定性についても、簡単ではあるが、 触れられている.しかしながら、3変数系における拡散誘導不安定性の研究は、その後、あまり大きく取り扱われることが 無かったように推察される。本講演では、あるタイプ(One-Activator Two-Inhibitorタイプ)の3変数反応拡散系における 拡散誘導不安定性のメカニズムを解明することを目指し、Turing 不安定性とTuring-Hopf 不安定性が起こる為の (および、起こらない為の)反応項に関する十分条件を7つのタイプに分類する.また、これらの十分条件を、 1変数および2変数部分系の安定性・不安定性のタイプと関連づけて、直感的に理解するためのひとつの道筋を提示する. さらに、Turing-モードとTuring-Hopf-モードの不安定化が共存する場合に、それぞれに対応する波数の大小関係を決定する 因子についても報告する.本講演の議論を見直してみると、別のタイプ(例えば、Two-Acitvator One-Inhibitorタイプ)の3変数系でも、 同様の議論が可能であることが判明し、3変数系における拡散誘導不安定性を体系的に取り扱うひとつの処方箋が得られることにも 言及したい.


    講演2 小川 知之(大阪大学大学院基礎工学研究科)
    時間 16:00〜17:30
    題目 3変数反応拡散系の多重臨界点
    概要

    Activator-Inhibitor系のTuring不安定性は、パターン形成のオンセットの解釈を与えることで知られる。 すなわちInhibitorの拡散が大きいと、本来安定な一様な状態が有限波数で不安定化することでパターンの 特徴的なサイズを説明することができる。一方、Inhibitorの時定数が大きいときにはInhibitorはActivatorに対して 大域的な(負の)フィードバックを与える因子と考えることができ、従って系がActivatorだけの(しかし 非局所項をもつ)方程式に帰着することができる。このようにして、Turing不安定化の別の見方をすることが 可能である。本講演ではこのアイデアをある種の3変数反応拡散系に適用すると、同様に非局所項をもつ2種の方程式 もしくは1種の方程式に帰着することが可能で、これにより説明される分岐現象のいくつかを紹介したい。 ウェーブ不安定化と呼ばれる空間非自明なパターンへのホップ分岐もそのように捉えることができる。 あるいは、0-1-2モードの3重退化分岐などが起きる状況も作り出すことができ、これにより様々な 解のダイナミクスが生まれる。


    ◎第30回 (特別プログラム)

    日時: 平成23年 2月10日(木) 13時〜17時40分
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

  • アブストラクトはここをご覧ください

  • 13:00〜14:00 Tetsutaro Shibata (Hiroshima University) Inverse bifurcation problems for nonlinear Sturm-Liouville problems
    14:10〜15:10 Slawomir Rybicki (Nicolaus Copernicus University) Bifurcations of non-constant solutions of the Ginzburg-Landau equation
    15:30〜16:30 Shuichi Jimbo (Hokkaido Univarsity) Domain variation and Electromagnetic Frequencies
    16:40〜17:40 Xingbin Pan (East China Normal University) On a Quasilinear System Involving Curl Modeling Meissner States of Type II Superconductors

    ◎第29回

    日時: 平成23年 1月20日(木) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 高石 武史(広島国際学院大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 フェーズフィールドを用いた亀裂進展の数理モデル
    概要

    材質の破壊につながる亀裂進展現象はその重要性から古くから研究がされているが、複雑な亀裂の進展を数値計算で調べようとすると亀裂部分の扱いなどで難しい点が多く、様々な計算手法が開発されてきた。九州大木村と講演者は Francfort-Marigo の提案したエネルギーを元に、TDGLの手法で時間発展方程式を導出した。この方程式は、フェーズフィールドで亀裂の有無を表現することで、複雑な亀裂の数値計算に特殊な手法を必要としないばかりでなく、面外変形モードでの亀裂進展を2変数スカラーの反応拡散系方程式による数理モデルとして扱うことも可能にした。本講演ではこの数理モデルと、そのモデルを用いた亀裂進展の数値シミュレーション結果を紹介する。


    講演2 福本 康秀(九州大学大学院数理学研究院)
    時間 16:00〜17:30
    題目 楕円回転流のハミルトニアン分岐理論
    概要

    定常剛体回転流は、軸対称性と並進対称性のおかげで中立安定であるが、対称性 を破る摂動を加えると不安定化する。楕円形にひずんだ流線をもつ回転 流の線 形不安定性は縮退する2個のKelvin 波同士のパラメータ共鳴として普遍的にとら えることができる。これらは、Kreinによるハミルトニアン力学系の分岐理論の 枠組みで記述できるが、弱非線 形段階を取り扱う理論は未整備である;通常の オイラー的記述の枠組みでは波の非線形相互作用によって誘起される平均流です ら直接求められない。最 近、われわれは、ラグランジュ的記述によって平均流 を系統的に進める糸口を見つけた。従来のオイラー的扱いの不備を指摘し、弱非 線形振幅方程式の 係数をすべて決定する方法を紹介する。


    ◎第28回

    日時: 平成22年 12月10日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 郡 宏(お茶大アカデミック・プロダクション & JSTさきがけ)
    時間 14:00〜15:30
    題目 ノイジーな振動子集団における揺らぎの強度とネットワーク構造の関係
    概要

    生物には様々なペースメーカー組織があり、これらは振動ダイナミクスを持つ細胞の集団が構成している。たとえば、心臓の拍動を作り出す同房結節やほ乳類概日リズムの主時計である視交叉上核などが挙げられる。これらの組織は、活動のタイミングの決定など生物機能において中心的な役割を果たしている。一般に、細胞ダイナミクスは、種々の内的ノイズのために揺らぎを伴い、その結果、振動周期に揺らぎが生じる。しかし生物のペースメーカー組織の作り出す振動は極めて正確で、振動周期の揺らぎが極めて小さい。心筋細胞を用いた実験で、分離培養した細胞の振動揺らぎにくらべ、複数の細胞が相互作用している場合は、集団をなす細胞数の増加と共に揺らぎが小さくなることが知られていた。しかし、その数理的メカニズムはわかっていなかった。我々はノイジーな位相振動子のネットワークを考え、振動の精確性が、システムサイズ、ネットワーク構造、また相互作用の強さにどのように依存するかを解析的に求めたので、これを報告する。 本研究は、河村洋史氏(海洋研究開発機構)、増田直紀氏(東大)との共同研究である。


    講演2 黒澤 元(理化学研究所・基幹研究所)
    時間 16:00〜17:30
    題目 概日時計の周期の意味:なぜヒトの周期は25時間なのか?
    概要

    多くの生物が概日時計を持っている。光や温度などが一定の恒常的な環境であっても、生物の持つ約1日周期のリズムは継続する。概日時計が概日とよばれるのは、自律振動の周期が1日ではなく「約1日」であるためである。セミナーでは、分子遺伝学・分子生物学によって明らかにされつつある分子機構を組み込んだ簡単な数理モデルを用いて、概日時計の周期の意味、特に周期の種による違いを考察する。そして、概日時計の概日性は、昼夜サイクルのある自然環境下で振動が安定に保たれるために要請されることを示す。


    ◎第27回

    日時: 平成22年 11月12日(金) 14時半〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 池田 幸太(明治大学 研究・知財戦略機構)
    時間 14:30〜16:00
    題目 縮約方程式が現れる反応拡散系に関する解析
    概要

    反応拡散系におけるパラメータを適当に選ぶと、基となる方程式はより単純化された系、すなわち縮約方程式によって近似される。縮約するための方法は状況によって使い分ける必要があるため、 その手法の開発は重要である。本講演では特定の反応拡散系を扱い、縮約方程式の導出の根拠となる理論と解析方法について説明したい。


    講演2 Jong-Shenq Guo(Tamkang University, 台湾)
    時間 16:30〜17:30
    題目 Quenching Problem Arising in Micro-electro Mechanical Systems
    概要

    In this talk, we shall present some recent results on quenching problems which arise in Micro-electro Mechanical Systems. We shall also give some open problems in this research area.


    ◎第26回

    日時: 平成22年 10月15日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 李聖林 (東京大学大学院 数理科学研究科)
    時間 14:00〜15:30
    題目 時間遅れ反応拡散系として表れる生命・生態現象
    概要

     複雑極まりないが、美しすぎるぐらいロバストな秩序を生み出している不思議な生物現象を理解する上で、その鍵となるメカニズムを理解する事はもっとも重要な一歩であり、数理モデリングは強力な手段の一つである。  反応拡散方程式(系)は主に空間的パターンを記述するモデルとして多く研究されてきた。形態形成における(モルフォゲンによる)細胞組織の空間パターン生成のメカニズム、生態系における生物種間の住み分け問題、伝染病の伝播現象などが反応拡散方程式(系)によって多く理解されている。
     今回の講演では生命・生態という2つの対照な生物現象において、時間遅れ反応拡散系として記述されるモデルを紹介し、生物現象を理解する上で、時間と空間の2つの要素を同時に考察していくことの重要性を考える。まずは、空間的要素だけを注目して多く研究されてきた形態形成におけるパターン形成問題に対して、細胞機能の時間的制御がどういう影響与えるのかについて考察する。次に、時間的個体群変動モデル(ODE system)としてほとんど研究されてきたvector-born伝染病の伝播現象において空間的要素を取り入れたときの、適切な拡散防止政策について議論する。最後にこの2つのモデルから現れる面白い数学の問題についても少し紹介する。
    (詳細はここをご参照ください)


    講演2 若狭 徹(明治大学先端数理科学インスティテュート)
    時間 16:00〜17:30
    題目 接触抑制効果を伴う細胞集団モデルとその解析
    概要

     細胞の接触抑制(contact-inhibition)とは、細胞増殖のプロセスにおいて観察される制御機構の一つである。 通常細胞が変異によって腫瘍化した際接触抑制の喪失が起こることが知られており、接触抑制のメカニズムの解明は医学的観点から重要である。 近年Bertsch-Dal Passo-Mimuraは、ある種の非線形性が接触抑制のメカニズムを生み出すと考え、通常細胞と異常細胞に関する2変数反応拡散系モデル(以下接触抑制モデルと呼ぶ)を提唱した。 本講演では、接触抑制モデルの定性的性質についてこれまでに得られた結果について述べる。特にあるパラメータ下では分離進行波解と呼ばれる解がダイナミクスにおいて重要な役割を担うことが数値実験より示唆される。講演では分離進行波解の存在・一意性の証明、さらにその基礎的な性質を述べる。一方で、パラメータ条件を変えた場合に解の振舞いが大きく変わることが数値実験よりわかってきた。この場合に関する最新の研究状況についても合わせて報告したい。 なお本講演はM. Bertsch教授、三村昌泰教授、永田裕作氏との共同研究の内容に基づくものである。


    ◎第25回

    日時: 平成22年 7月2日(金) 14時半〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 壁谷 喜継(大阪府立大学大学院工学研究科)
    時間 14:30〜16:00
    題目 ポテンシャル項をもつ熱方程式に対する解のホットスポットの時間大域的挙動
    概要

    ポテンシャル項をもつ熱方程式の初期値問題を考える.ポテンシャル項がない場合は,Chavel-Karp の結果により,解の最大値を与える点(ホットスポット)は初期値の重心に近づくことが知られている(初期値に制限があるが).では,ポテンシャル項がついた場合,ホットスポットの時間大域的挙動に関して,どのようなことが起こるのかを解明するのが本講演の目的である.ホットスポットの挙動を支配するものは,実は定常解の構造であることも述べたい.更に,ポテンシャル項の減衰のオーダーとホットスポットの挙動にどのような関連があるかも述べる予定である.本講演は,東北大学・石毛和弘氏との共同研究に基づく.


    講演2 矢崎 成俊(宮崎大学工学部)
    時間 16:30〜17:30
    題目 平面内の勾配流いろいろ
    概要

     様々な平面閉曲線の勾配流を紹介する。曲線上で定義されたある種のエネルギーのL^2勾配流を扱い、その特性、接線速度の効用、多角形版の構成、数値計算法、画像輪郭抽出への応用、負結晶成長のモデリング、などのいろいろな話題を提供したい。


    ◎第24回

    日時: 平成22年 6月11日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 岩見 真吾(科学技術振興機構(東京大学大学院数理科学研究科/京都大学ウイルス研究所))
    時間 14:00〜15:30
    題目 計算ウイルス学・免疫学の展開
    概要

     日本におけるモデリング研究とウイルス学・免疫学の共同研究は、殆ど行われていない。何故ならば、日本では、ウイルス学・免疫学のモデリングを専門的に扱う理論研究者が育っておらず、その従事者人口の少なさからウイルス学・免疫学の実験研究者がモデリング研究と関わる機会が極端に少なかったためである。また日本では、ウイルス学・免疫学とモデリング研究を含む数理科学との学際的な分野が全く未開拓なままになっている事も理由の一つである。
     諸問題を解決し、学際研究を発展させるためには、理論研究者と実験研究者がお互いに歩み寄り、協力し、刺激を与えあう事で、それぞれの独立した研究だけでは解決できなかった問題に、共に立ち向かっていく、欧米諸国とは違った、日本独自の環境と機会を設ける事が大切である。
     近年、講演者は、京都大学ウイルス研究所の協力を得て、欧米諸国で行われてきたモデリング研究とウイルス学・免疫学の共同研究の枠を大きく超えた、“理論・実験相互フィードバック型の研究”に精力的に取り組んでいる。この研究は、実験結果を基に理論を構築し、その構築した理論を基に次の実験を計画する、という形で、モデリング研究と細胞・動物実験を相補的に行っていくものである。 本セミナーでは、現在進行中の理論・実験相互フィードバック型の研究の中から、「ウイルス感染におけるウイルス複製率・感染率の定量化理論」に関する話題を提供したい。また、時間が許す限り、他の研究の概要についても触れていきたい。


    講演2 中岡 慎治(東京大学大学院数理科学研究科)
    時間 16:00〜17:30
    題目 免疫応答のダイナミクス研究:CD4+ T 細胞の細胞増殖分化の数理モデル研究
    概要

     体内に侵入したバクテリアやウィルスといった病原体、花粉などの外来タンパク質、癌細胞の断片(ペプチド)は一般に非自己抗原として認識され、免疫応答が活性化される。一方、組織片など自己抗原に対しては通常免疫系は活性化されることなく、自己免疫寛容とよばれる状態が成立する。免疫応答はこのような自己・非自己の認識のみならず、感染部位における炎症の誘発・亢進、炎症部位への細胞誘導や二次リンパ器官における抗原提示、抗原特異的な免疫応答(適応免疫系)、二次感染に迅速な対応をする免疫記憶、過剰な免疫応答の抑制といった一連の過程からなる。免疫応答とは、抗原とリンパ球をはじめとした多種多様な免疫細胞が関わったマルチスケールでダイナミックな現象である。
     免疫応答を理解するためには、マルチスケールでダイナミックなシステムとしての側面を統合的に記述する枠組みを提供すると同時に、たとえば個別具体的な感染現象に対して、動態の予測や理解を与えるような理論考察が必要である。近年では実験手法や計測技術の発展により、細胞増殖や分化に関する定量的な実験データが手に入るようになってきた。このため、実験データを下に免疫応答のダイナミクスを定量的に解析する数理研究が重要になってきている。
     本講演では、その試みの一つとして現在私が取り組んでいる研究(リンパ球の増殖と細胞分化のダイナミクス)について、Theory of physiologically structured population models に基づいて構築した数理モデルの数学的側面を中心に報告する。更に、時間があれば細胞計測や in vivo イメージングによる細胞追跡といった近年の定量的実験と数理モデルを活用した研究もいくつか紹介し、本研究およびその他数理科学分野の研究との関連について議論したいと考えている。


    ◎第23回

    日時: 平成22年 5月14日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 末松 J. 信彦(広島大学理学研究科)
    時間 14:00〜15:30
    題目 場を介して相互作用する自律運動粒子の集団運動
    概要

     自発的な運動は生物における特徴的な挙動の一つであるが、無生物でも似たような挙動は認められる。このような自発的な運動を行う粒子(自己駆動粒子)のうち、無生物系における代表的な例として樟脳船が挙げられる。樟脳船は水面に浮かべると船周辺の表面張力差を駆動力として自発的に滑走する自己駆動粒子であり、これまで単体もしくは2体の運動について研究されてきた。今回この樟脳船を多体系に拡張し、一次元水路における集団運動について研究した成果を報告する。


    講演2 南 和彦(名古屋大学多元数理科学研究科)
    時間 16:00〜17:30
    題目 可解格子模型の等価な系列と細胞選別の数理モデル
    概要

     Mochizuki-Iwasa-Takeda (1996) による細胞選別の数理モデルは、格子上のスピン模型の代表例であるIsing 模型と等価である。一方、可解なスピン模型には等価な系列が知られており、例えば2次元正方格子Ising 模型は、1次元のXY模型およびtransverse Ising 模型と互いに等価であり、したがって後者に等価な生物系のモデルと前者に対応する細胞選別のモデルとの間にも、等価性があることがわかる。この一連の等価性を通じて、一見異なる生物系・生態系どうしが、共通の数理構造を持つ可能性を指摘する。


    ◎第22回

    日時: 平成22年 4月23日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 森本光太郎(首都大学東京理工学研究科)
    時間 14:00〜15:30
    題目 Gierer-Meinhardt系における飽和効果と定常解の形状について
    概要

     活性因子と抑制因子についての反応拡散系であるGierer-Meinhardt系、特に活性因子の反応項に飽和効果を課したモデルについて考える。過去の研究により、飽和効果の強さの度合いによって点凝集解や内部遷移解などの異なる形状の定常解が現れる事が知られている。本講演ではこれまでの研究の概要を述べるとともに、一次元shadow系に対しては完全に飽和効果の度合いによる定常解の形状的分類が出来た事を報告する。


    講演2 坂元 国望(広島大学理学研究科)
    時間 16:00〜17:30
    題目 Hamiltonian-PDE の空間周期解の安定性と分岐
    概要

     非線形Schr\"{o}dinger 方程式やKdV 方程式は無限次元Hamiltonian偏微分方程式として 定式化されることは、よく知られている。本講演では、微分非線型Schr\"{o}dinger方程式を 無限次元Hamilton系として扱い,特に、周期境界条件の下で、進行波解(回転波解)の存在と その軌道安定性について、得られた結果を報告する。現在のところ、0 以外の整数を回転数とする無限 個の半自明解の枝の存在と、正の回転数を持つ枝上の解の安定性と負の回転数を持つ枝の一部の解の 安定性しか判っていない。しかしながら、半自明解と自明解の多重安定性など、興味深い現象もみられる。 また、半自明解からの解の分岐現象についても興味深い結果が得られた。周期進行波の大域的な構造は 非常に豊富なものがあると示唆されるが、これについては全くと言ってよいほど手つかずの状態であり、 今後の進展が期待される課題である。


    ◎第21回

    日時: 平成22年 1月22日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 川上 竜樹(東北大学大学院理学研究科)
    時間 14:00〜15:30
    題目 半空間における非線形境界条件付き熱方程式の大域解の分類
    概要

     本講演では非線形放射の物理的な解釈の1つとして考えられている非線形境界条件付き熱方程式の初期境界値問題を考える.非線形放物型問題の正値解の大域挙動についてはこれまでも様々な手法により多くの研究が行われてきたが,非線形境界条件付き熱方程式の解の大域挙動については半空間でさえほとんど結果が得られておらず,既存の結果としては藤田型方程式と同様にある指数によって時間大域解の存在非存在が変化することが知られているのみである. そこで本講演では半空間における非線形境界条件付き熱方程式の正値解に対して半線形熱方程式の解に対する結果と同様の結果を得ることを目標とする.なお本講演の内容は東北大学の石毛和弘氏との共同研究によるものである.


    講演2 鈴木香奈子(東北大学国際高等研究教育機構)
    時間 16:00〜17:30
    題目 基礎生産項を含むある活性因子ー抑制因子系におけるパターンの崩壊
    概要

     本講演では、例としてギーラー・マインハルト系を含むような、一般化された活性因子ー抑制因子系の解の挙動を考察する。この方程式系では、活性因子の濃度分布が空間非一様なパターンを形成することが期待される。しかし、方程式系が基礎生産項を含まない場合、一度出来かけた空間パターンが、最終的には一様に0に収束してしまうという現象を数値的に見ることができる。ここで基礎生産項とは、反応とは無関係に単位時間当たりに生産される活性因子、抑制因子の量を表す。このような現象を防ぐには、活性因子の基礎生産項の存在が重要であるが、抑制因子の基礎生産項が正で含まれる場合には、ダイナミクスが複雑になることを紹介する。


    ◎第20回

    日時: 平成21年11月27日(金) 15時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 観音 幸雄(愛媛大学)
    時間 15:00〜16:00
    題目 2種競争系の定常解の大域的な分岐構造について
    概要

     Lotka-Volterra 型の一般化された2種競争系を扱い,その球対称定常解の大域的な分岐構造について考察する.比較定理を用いた線形化作用素の性質の解析により,2種競争系の分岐構造はある反応拡散方程式のそれと類似していることが分かってきている.本講演では,反応拡散方程式と対応付けながら,これまでに得られている分岐構造に関する結果を紹介したい.また,2種競争系がシステムであるために,解決すべきいくつかの課題が残されており,分岐構造が完全に決定できているわけではない.講演の中で,それらの課題についてもふれたい.


    講演2 Jong-Shenq Guo (Naional Taiwan Normal University)
    時間 16:30〜17:30
    題目 Traveling wave fronts for a 2-component LDS arising in competition models
    概要

     We study traveling wave front solutions for a two-component system on a one dimensional lattice. This system arises in the study of the competition between two species with diffusion (or migration), if we divide the habitat into discrete regions or niches. We consider the case when the nonlinear source terms are of Lotka-Volterra type. For the monostable case, we first show that there is a minimal wave speed such that a traveling wave front exists if and only if its speed is above this minimal wave speed. Next, we characterize the minimal wave speed using the parameters in the system. Then we show that any wave profile is strictly monotone. Moreover, under some conditions, we show that the wave profile is unique (up to translations) for a given wave speed. Finally, for the numerical aspect, we derive the convergence of discretized minimal wave speeds as the mesh size tends to zero.


    ◎第19回

    日時: 平成21年10月23日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 上山 大信(明治大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 リーゼガング型沈殿パターンへの核生成頻度の影響 〜モデリングおよびシミュレーションからのアプローチ〜
    概要

     リーゼガング型沈殿現象と総称される特徴的な沈殿現象は、100年以上にわたって興味が持ち続けられ、未だ活発に研究されている。我々は、数年にわたって現象のモデリングとシミュレーションという立場から、本現象の本質解明に向けた研究を行ってきており、甲斐により提案されたモデルをヒントに現象論的なモデルであるフェーズフィールド型モデル方程式を提案した。寅丸等による実験で、ゲルの濃度を変化させることで、バンドパターンから樹枝状パターンへの遷移が報告されているが、同論文で指摘されているゲル濃度変化による核生成頻度の変化という事実に着目し、提案した現象論的モデルのシミュレーションにおいて、ランダムな核生成頻度を変化させ、最終パターンの変化をみた。その結果、ランダムな核生成頻度が高いほどバンドパターンが出やすく、低いほど複雑なパターンが出やすい傾向が示唆された。本講演では,特にノイズと生成パターンの関連について議論したい。


    講演2 望月 敦史 (理化学研究所・基幹研究所/東京工業大学・総合理工学研究科/JST・さきがけ)
    時間 16:00〜17:30
    題目 生体分子ネットワークの構造とダイナミクス
    Structure of regulatory networks and dynamics of bio-molecules
    概要

     生命現象の様々な局面において、多数の生体分子が相互作用の複雑なネットワークを作り、そのシステム全体のダイナミクスから、生理機能や形態形成などの高次機能が現れることが分かってきた。今回、生体分子の制御ネットワークの構造から、活性ダイナミクスの全体像を捉える理論を考案した。「生体分子活性の関数関係だけから、力学への制約を導くこと」が、基本アイデアである。この考えには二つの側面があり、生体分子活性状態の「不和合性(incompatibility)」、及び「独立性(independency)」と名づけた。前者の「不和合性」の性質によって、活性状態の定常状態の可能性を絞り込み、可能な状態数の上限を決定できる。一方で後者の「独立性」から、分子の活性状態の可能な組み合わせについての条件を導くことができる。ウニの初期発生を支配する遺伝子ネットワークや、シグナル伝達系における生体分子反応など、複数の実際のネットワークを対象にした解析を紹介する。


    ◎第18回

    日時: 平成21年7月10日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 板野 智昭(関西大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 剪断流における秩序構造と階層性の探索
    概要

     剪断流に見られる秩序構造は,流れの制御などの応用まで視野に入れた工学的観点からはもちろん,乱流におけるその維持機構は,数理的にも興味深い非線形現象として広く研究者たちの関心を集めてきた. この剪断流の最も簡単なモデルケースとして,互いにある一定の相対速度で動く二枚の平行平板間の流れ,いわゆる平面クエット流が挙げられる. 本発表では,「秩序構造と階層性」をキーワードに,発表者がこれまで行ってきたいくつかの研究成果を交えつつ,平面クエット流において近年見つかったヘアピン型の渦を有する定常解(Itano \& Generalis : PRL v102 p114501(2009))について報告する.


    講演2 斉木 吉隆 (京都大学数理解析研究所)
    時間 16:00〜17:30
    題目 連続カオス力学系に埋め込まれた不安定周期軌道に関する数値的研究
    概要

     カオス力学系には無限個の不安定周期軌道が埋め込まれている。しかし、 不安定周期軌道は、その検出に困難を伴うため、これまでに十分調べら れているとは言えない。
     本講演では、カオス力学系の不安定周期軌道に関するいくつかの 基本的性質をレビューした後、複数の低次元連続カオス力学系 (Lorenz系・Kuramoto-Sivashinsky系等)から数値的に検出された 1000個程度の不安定周期軌道を用いて得られた軌道平均値に関する 統計解析結果を紹介する。 本研究は、流体乱流における秩序や統計性質が、系に埋め込まれた 周期の短い少数の不安定周期軌道を用いて捉えられるという 近年報告されている結果に動機づけられたものである。
     後半では、共変リアプノフ解析によって計測されたLorenz系に 埋め込まれた不安定周期軌道の安定多様体と不安定多様体のなす角度 ならびにリアプノフ指数を用いて、系のパラメタ変化に伴う非双曲構造の 発生と不安定周期軌道の関連を議論する。 また、時間が許せば不安定周期軌道の数値的検出方法についても言及したい。 本講演で紹介する結果は山田道夫氏と小林幹氏との共同研究に基づいている。


    ◎第17回

    日時: 平成21年6月26日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 Bao-Feng Feng (University of Texas-Pan American)
    時間 14:00〜15:30
    題目 A self-adaptive mesh method for the Camassa-Holm equation
    概要

     The marriage of soliton theory and numerical analysis gives birth to a novel numerical method: a self-adaptive mesh method for the Camassa-Holm equation. Based on its integrable semi-discretization, a new numerical scheme is implied for the Camassa-Holm equation. First, it is an integrable scheme, possessing the N-soliton solution. Moreover, it is called a self-adaptive mesh method, because the non-uniform mesh is driven and adapted automatically by the solution. Once the non-uniform mesh is evolved, the solution is determined by solving a tridiagonal linear system. Due to these two superior features of the method, the numerical results of the propagation and interactions of soliton and cuspons agree with exact ones very well even by a small number of grid points.
     This is a joint work with my colleague, K. Maruno, and Y. Ohta at Kobe University. We are working on the extension of this novel numerical method to other soliton equations.


    講演2 大崎 浩一(関西学院大学理工学部)
    時間 16:00〜17:30
    題目 反応拡散・走化性系に現れる非線形問題 ― 時間大域存在性とパターン形成 ―
    概要

     大腸菌分布のパターン形成に対する数理モデルである三村・辻川系の解の時間大域存在とパターン形成について,最近考えている問題と一部の結果を紹介する.
     三村・辻川系には単安定や双安定の増殖項が提案されているが,時間大域解の存在という観点からは,これは走化性爆発を抑える作用と見ることができる.2次の減衰(単安定)があれば爆発は起きないことが示されているが,それではこれを何次まで緩めることができるのかといった問題について考える (東京医科歯科大学・中口悦史先生との共同研究).
     また,時間大域解が存在する場合においては,定常解として正六角形やストライプのパターンが現れることが数値的に示されているが,これを分岐解析の立場からとらえることも考える (関西学院大学・奥田孝志先生,福岡工業大学・久藤衡介先生との共同研究).


    ◎第16回

    日時: 平成21年5月22日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 宮本 安人(東京工業大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 Δu+λf(u)=0のNeumann問題の分岐について
    概要

     球領域や円環領域上の球対称な解や、単位区間との直積領域上の1次元的な解など、ODEに帰着する場合は、分岐現象や分岐の枝の大域性など、様々な研究が行われてきているが、ODEに帰着できない場合は、Dirichlet問題の正値解を除いて、今までに多数の研究はなされていないようである。ここでは、2次元球領域におけるNeumann問題の分岐について考える。第2と第3固有値から分岐する非球対称解からなる分岐の枝が大域的で、f(u)=u-u^3の場合は、第2固有値から分岐する枝は、2次分岐しないことを示す。


    講演2 田崎 創平(大阪大学基礎工)
    時間 16:00〜17:30
    題目 非局所項をもつ Fix-Caginalp 方程式の定常問題
    概要

     Fix-Caginalp 方程式は, 非等温固体液体相転移を記述する, 相を表す秩序変数と温度に関する非線形偏微分方程式のシステムである. 物理的に閉じた系, すなわち同次 Neumann 境界条件の下では系は保存量をもち, その定常問題は非局所項をもつ非線形固有値問題として定式化される. 非局所項がない場合は Cahn-Hilliard 方程式や Ginzburg-Landau 汎関数との関連から多くの結果が得られているが, この問題に関しては数学的な研究がほとんどなされていなかった. このような非局所項をもつ定常問題の解の存在, 非存在, 安定性, 分岐構造に関して得られた結果について述べる. 特に, 力学安定で非自明な定常状態の存在を示したい.


    ◎第15回

    日時: 平成21年4月28日(火) 15時〜16時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 石原秀至(東京大学大学院総合文化研究科)
    時間 15:00〜16:30
    題目 保存量のある反応拡散系の性質と細胞極性形成への応用
    概要

     多くの細胞種でしばしば極性の自律的形成がみられるが、この過程の反応拡散系を用いたモデル化において、濃度分布が多ピークから競合して消えて行くことで単一ピークへと移行するダイナミクスが見られた。この過程がなぜおこるかを調べたところ、保存量を伴う反応拡散系に対して一般的に現れる不安定性が存在し、それが系の後期ダイナミクスを駆動することがわかった。この仕組みを報告する。また、実際の細胞では極性形成が起こる時間スケールは数十秒程度であり、我々が解析した不安定性がこのスケールで効きうるということを議論する。


    ◎第14回

    日時: 平成21年1月22日(木) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 桑村 雅隆(神戸大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 捕食者の休眠を伴う prey-predator 系について
    概要

     ミジンコ(動物性プランクトン)の多くは、通常は無性生殖による繁殖を行うが、餌不足のような悪い環境の下では有性生殖により休眠卵(耐性卵)を産むことが知られている。ここでは、休眠卵の効果を取り入れた、ミジンコと藻(植物性プランクトン)からなる prey-predator 系を考える。この系は、通常の prey-predator 系と異なる性質をもつことがわかった。例えば、餌の絶対量に応じて休眠をする系では、複雑なダイナミクス(バースト振動とカオス)が見られることがある。また、餌の減少率に応じて休眠をする系では、2つの異なる安定な周期解が共存することがありうる。


    講演2 柴田 達夫(広島大学大学院理学研究科)
    時間 16:00〜17:30
    題目 1細胞の自己組織化現象を蛍光イメージデータの時系列解析と数理モデルによって解明する
    概要

     数十マイクロメーターの大きさの細胞性粘菌の1細胞が、走化性シグナル伝達系において進行波様の自己組織化現象を示した。そこで細胞に導入した2色の蛍光のイメージデータの時系列解析を行い、2変数の相空間中における動力学を細胞毎に再構成した。メージデータが示す多様な時空間パタンにもかかわらず、2変数の動力学は多くの細胞で共通していた。このデータ解析の結果に基づいて未知の調節を仮定したところ、データ解析の結果を再現する数理モデルが構成できた。実験は大阪大学、新井由之・上田昌宏らによる。


    ◎第13回

    日時: 平成20年12月4日(木) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 中村 健一 (電気通信大学情報工学科)
    時間 14:00〜15:30
    題目 非一様な場を伝播する進行波の速度について
    概要

     ここ15年余り、空間非一様な反応拡散方程式(系)の進行波に関する研究が進展しているが、そのほとんどが空間周期的な場合に限られてきた。本講演では、双安定型非線形項を持つ反応拡散方程式(系)の特異極限として得られる曲線の発展方程式を非周期的な空間構造を持つ2次元シリンダー領域において考察し、
    ・非周期的な環境を伝播する進行波をどう定義するか。
    ・非周期的な環境の場合、進行波の平均速度がいつ存在するか。
    ・境界が非常に細かく変動している場合に、均質化極限における進行波のプロファイル・平均速度が境界形状のどのような量で決定されるか。
    について得られた最近の結果(Lou-Matano-Nakamura, preprint)を紹介する。


    講演2 片山 統裕(東北大学情報科学研究科)
    時間 16:00〜17:30
    題目 ニューロンにおける酵素トランスロケーションの時空間ダイナミクス
    概要

     ニューロンの興奮性の調節やシナプス可塑性において重要な役割を担っているC型タンパク質リン酸化酵素(PKC)は,その酵素活性と関連して細胞内局在が変化する性質を有する(トランスロケーション).GFP-γPKC融合タンパクを発現させたマウス小脳プルキンエ細胞において,平行線維シナプスの高頻度刺激に伴い,刺激部位近傍から樹状突起に沿ってトランスロケーションが伝播する現象が報告されている.最近,坪川は,同じ刺激条件で樹状突起内をほぼ同速度で伝播する細胞内Ca2+波が生じることを見出し,これがγPKCトランスロケーション波をリードしている可能性を指摘した.本研究では,生理学的・解剖学的知見に基づいたプルキンエ細胞の数理モデルを構築し,Ca2+波の再現を試みた.その結果に基づき,トランスロケーション伝播のメカニズムと機能的意義について考察する.


    ◎第12回

    日時: 平成20年11月6日(木) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 田中 ダン(福井大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 Swarm Oscillators -`膜'、`果実'、`多角形'-
    概要

     動的内部自由度を持つ素子が、実空間に分布している系は遍在します。そこに潜む普遍的な数理機序を探求すべく、走化性リミットサイクル振動子群モデルを縮約し導出した、位相振動子モデルを紹介します。このモデルの呈する豊富な創発構造のうち、特に、'膜'や`果実'、`多角形'の構成機序や解析解について報告します。そこでは非対称力のバランスや、逐次的相互作用の重要性が窺えます。
     DT, Physical Review Letters 99, 134103 (2007)


    講演2 小林 徹也(東京大学生産技術研究所)
    時間 16:00〜17:30
    題目 定量生物学と理論生物学:慨日リズムの摂動応答性を例に
    概要

     近年、システムバイオロジーに代表されるような、従来の分子生物学的方法論を補完する新しい生命科学の方向性を模索する試みが行われてきた。このような試行錯誤的な試みの結果、最近具体的な方法論の1つとして、「定量的なデータに基づいた生命科学」がボトムアップに国内外を問わず立ちあがってきている。特に、定量的なデータを介することによって、システムバイオロジーにおいても強調されてきた実験的な研究と理論的な研究の融合が現実的に実現可能であることが分かってきている。
     本講演ではまず、このような定量的なデータに基づく研究の例として、我々が最近行った慨日リズムのSingularity現象(慨日リズムの停止現象)のメカニズムを細胞レベルで解明した研究などを紹介する。
     この研究は、定量的データを介して、いかに理論と実験とか有機的に結合可能であるか?を例示しているため、実験・理論融合研究の方向性を考える上でのよいたたき台になると考えられる。
     そしてこの我々の研究や他の研究者による代表的な研究を具体例として、定量的なデータを活用した生物学の今後の展開と必須技術、そして理論生物学との関連について議論したい。


    ◎第11回

    日時: 平成20年10月28日(火) 15時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 高橋太(大阪市立大学理学研究科)
    時間 15:00〜16:00
    題目 Asymptotic nondegeneracy of least energy solutions to an elliptic problem with critical Sobolev exponent
    概要

     We consider a boundary value problem of an elliptic PDE with the critical Sobolev exponent and a variable coefficient function. We discuss a qualitative property, such as nondegeneracy (as a critical point of the corresponding Euler-Lagrange functional to the equation) of blowing-up solutions. Under certain assumption of the coefficient function, we prove the nondegeneracy of least energy solutions to the problem.


    講演2 Nicola Fusco (Napoli大学)
    時間 16:30〜17:30
    題目 The sharp Sobolev inequality in quantitative form
    概要

    ここをご参照ください.


    ◎第10回

    日時: 平成20年10月16日(木) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 木村正人(九州大学大学院数理学研究院)
    時間 14:00〜15:30
    題目 エネルギー(不)等式を満たす多角形版移動境界問題の構成
    概要

     表面張力や移流などの効果を持つ多くの移動境界問題においては,面積・エネルギー保存性などのエネルギー等式や,界面縮小性などの不等式が非常に重要な役割りを果たしている.一方でその数値解析においては,曲率項や移流項の取り扱いの困難さもあり,そのようなエネルギー(不)等式の自然な実現は数値計算上の大きな課題である.本講演では,これらの自然な取り扱いを可能にする手法として,多角形版の移動境界問題を提案する.  平均曲率流,Hele-Shaw移動境界問題,Stefan問題,2層流体問題などの,多くの重要な移動境界問題についてその多角形版の問題が自然に導かれる.これはもとの問題の界面の離散近似として興味深いだけではなく,もとの問題の類似としてそれ自身が興味ある研究対象である.講演では,いくつかの空間2次元多角形版の移動境界問題とその性質について紹介し,更に面積速度保存性を持つ2次精度の陰的時間離散化について結果を報告する.また3次元問題への拡張についても触れる予定である.  本研究は矢崎氏(宮崎大学),田上氏(九州大学),M.Benes氏(チェコ工科大学)との共同研究である.


    講演2 石渡哲哉(岐阜大学)
    時間 16:00〜17:30
    題目 クリスタライン曲率に依存して動く多角形曲線の運動について
    概要

     平面上の多角形曲線の各辺が、クリスタライン曲率に依存する法線速度で動く時間発展問題を考える。初期曲線が凸の場合は、曲線の凸性が保存されるため、曲線あるいはその一部の消滅の挙動を解析することに焦点を当てられることが多いが、本講演では、初期曲線が非凸の場合を考える。この場合、曲線の時間発展の途中で、自己交差を起こしたり、辺が消滅することによって、解多角形が自然な解多角形のクラスから出てしまうことが起こりうる。幾つかの条件下では、そのような特異性が起きた場合においても、解を延長することができ、更に解多角形が有限時間で凸性を獲得することが分かる。講演では、このあたりに焦点を当てて、最近の結果を報告する。時間があれば、まだ未解決の部分についての予想などもお話ししたい。


    ◎第9回

    日時: 平成20年7月11日(金) 14時半〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 千葉逸人(京都大学 情報学研究科)
    時間 14:30〜16:00
    題目 Fast-slow systems with codimension 2 critical manifolds
    概要

     複数の時間スケールによって特徴づけられる微分方程式系は fast-slow system と呼ばれ、近年、数理生物学などへの応用がめざましい。fast-slow system の大域的挙動は critical manifold と呼ばれる部分多様体の形状によって大別されることが知られているが、ここでは退化した折れ曲がり点を持つ critical manifold を持つ系について考察し、これが安定な周期軌道(relaxation oscillation) と chaotic attractor を持つための条件を与えたい。折れ曲がり点近傍の解析では blow-up と呼ばれる手法を用いる。講演では特にblow-up について詳しく解説し、blow-up 空間では系が Painleve(I)方程式に帰着することを示す。また結合振動子系の蔵本モデルから自然にfast-slow system の構造が現れることも紹介したい。


    講演2 柳下浩紀(京都産業大学)
    時間 16:30〜17:30
    題目 単安定・非局所拡散方程式の進行波解
    概要

     Fisher-KPP方程式に代表される単安定な非線形項をもつ反応拡散方程式の進行波解の速度の存在範囲の特徴についてはよく知られている。すなわち、進行波解の速度はある正の最小値をもち、さらに最小値より大きな任意の値に対して速度がその値である進行波解が存在する。本講演では拡散的な効果が通常の拡散でなく、合成積によって与えられる方程式について、同様の問題を考える。この種の方程式では、進行波解の最小速度が負になって、さらに単調な波形をもつ速度0の進行波解(定常波解)の波形は不連続なものに限るという状況が起きることが実際にある。したがって、不連続な関数を相空間から排除せずに考えるのが自然である。


    ◎第8回

    日時: 平成20年5月16日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 遠藤哲郎(明治大学)、清水邦康(明治大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 発振器の結合系の研究
    概要

     多数のファン・デル・ポール発振器の結合系は発振器の並列運転やフェイズド・アレイ・アンテナのビームの方向制御をはじめとするさまざまな応用をもつ。本講演では、ラダー状、ならびにリング状に結合されたN個の軟発振および硬発振タイプのファン・デル・ポール発振器の平均化法による解析とその結果について示す。後半は硬発振器の結合系において、非線形性がある程度強くなったときに見られるパルス波動の伝播現象について説明する。


    講演2 井田真人(日本原子力研究開発機構・システム計算科学センター・高度計算機技術開発室)
    時間 16:00〜17:30
    題目 高エネルギー科学におけるキャビテーション問題−その抑制手法と結合振動子モデルを用いた解析−
    概要

     原子力機構とKEKは現在、大強度陽子加速器の建設と利用に関するプロジェクト『J-PARC計画』を推進している。このプロジェクトの主要施設の一つ「核破砕中性子源」の開発において、現在、施設内で発生するキャビテーションが大きな問題になっている。キャビテーションによって発生する無数の気泡が中性子源容器を痛めつけ、寿命や出力の低下を招くことが予測されているのである。本講演では、この問題を解決すべく我々が試みている『気泡注入』 [Naoe et al.,Nucl. Inst. and Meth. A 586 (2008) 382] について紹介し、一種の結合振動子モデルと見ることのできるcoupled Rayleigh-Plesset方程式を基にした解析について述べる [Ida et al., Phys. Rev. E 75 (2007) 046304 ; Phys. Rev. E 76 (2007) 046309]。この解析により、気泡注入が持つキャテーション抑制効果の一端が明らかになった。


    ◎第7回

    日時: 平成20年4月25日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 上田肇一(京都大学数理解析研究所)
    時間 14:00〜15:30
    題目 反応拡散系にみられる遷移ダイナミクスに対する数値的解析 --不安定解の存在とその役割--
    概要

     反応拡散系においてはパルス同士の対衝突や非一様場の 影響によって様々なパターンがみられる。それらの パターンが発生する仕組みを明らかにするために、 大域的分岐解析を行い、不安定解(分水嶺解)が解軌道 の行き先を決定する本質的な存在であることを明らかに した。


    講演2 渡辺雅二(岡山大学大学院環境学研究科)
    時間 16:00〜17:30
    題目 合成ポリマー生分解プロセスに関するモデリングと数値的手法
    概要

    ここをご参照ください.


    ◎第6回 「反応拡散系とその周辺」−細野雄三先生の還暦祝を兼ねて−

    日時: 平成19年12月11日(火) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演1 池田勉(龍谷大学)
    時間 14:00〜15:00
    題目 ミジンコのダンス,その他
    概要

     細野さんの還暦祝い兼ねた小集会ということなので,8 0年代前半に≪こんなことの数理が明らかになったらいいな≫と考え ていたことなどをお話したいと思います.もし,若い人たちがチャ レンジしてくれたら嬉しいですね.


    講演2 池田榮雄(富山大学)
    時間 15:10〜16:10
    題目 反応拡散系における進行波の非一様性に対する応答について
    概要

     2成分の反応拡散系において進行波が存在している状況で,弱い非一様性の導入(例えば,拡散係数などへの非一様性の導入)により,進行波のダイナミクスがどのような影響を受けるかを分岐理論,中心多様体論などを利用して考察する.講演では幾つかの例を取り上げる予定である.


    講演3 細野雄三(京都産業大学)
    時間 16:30〜17:30
    題目 感染症伝播の反応拡散モデルに対する進行波解
    概要

     感染症の空間的な伝播を記述するモデルの一つである反応拡散系に基づいて,感染症の伝播速度を進行波解を通して議論する.特に,不安定状態に侵入する進行波解の速度が感染率の非線形性や拡散系数にどのように依存するかを考える.


    ◎第5回

    日時: 平成19年11月20日(火) 16時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室


    講演者 Xingbin PAN(East China Normal University)
    時間 16:00〜17:30
    題目 Phase Transitions and Boundary Layer Behavior of Liquid Crystals
    概要

    In this talk we shall discuss some critical values which are useful in the mathematical theory of phase transitions of liquid crystals, including the critical wave number and critical elastic coefficient. We shall also examine the boundary layer behavior of surface smectic state by using of large elastic coefficients approximation of Landau-de Gennes model.


    ◎第4回

    日時: 平成19年10月23日(火) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 第3会議室


    講演1 昌子浩登(京都府立医科大学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 3次元特有のチューリングパターン
    概要

     これまで数多くの研究者が1、2次元における自己組織的に形成されるパターンの研究を行ってきた。が、3次元において自己組織的に形成されるパターンの系統的な研究はほとんどない。我々は、非平衡系で最もシンプルなチューリング反応拡散系を用いて、自己組織的に形成される3次元構造の研究を展開している。これまで得られている研究結果を報告する。


    講演2 土井祐介(大阪大学工学)
    時間 16:00〜17:30
    題目 非線形格子系における局在構造
    概要

     Fermi-Pasta-Ulam β格子などの非線形格子系においては 離散ブリーザー(Discrete Breather, DB)/非線形局在モード (Intrinsic Localized Mode, ILM)と呼ばれる空間局在構造が 存在することが知られている.本講演ではこの離散ブリーザーの 研究の発展について紹介する.また,移動型離散ブリーザーの衝突, 2次元系における静止型離散ブリーザーの構造についての研究結果を報告する.


    ◎第3回

    日時: 平成19年10月12日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 第2会議室


    講演1 小川知之(大阪大学基礎工学)
    時間 14:00〜15:30
    題目 反応拡散系と結合振動子系のウェーブ分岐
    概要

     振動場の反応拡散系で時空間パターンが現れるメカニズムとして ウェーブ分岐が知られているが、結果として種々のパターンが現れる。一方、 有限個の振動子系を拡散結合すると、同様にしてウェーブ分岐が 生じることがわかる。しかし有限結合系であるがゆえの特徴もあるようで 両者を比較しながら分岐解析した途中経過を報告する。


    講演2 藤村 薫(鳥取大学工学部)
    時間 16:00〜17:30
    題目 Rayleigh-Benard 対流 -- 正六角形格子上での パターン形成
    概要

     Rayleigh-Benard 対流のパターン選択は ほぼ半世紀の研究の歴史をもつ古典的な問題として 知られているが,Boussinesq 近似が成り立つ非常に 単純な場合ですらまだ完全には解明できていない. ここでは,波数平面上の正六角形格子の格子点が 厳密に6個臨界円上に存在する場合と,さらに6個 の格子点が倍の半径をもつ臨界円上に存在する 1:2 共鳴の場合について,'generic な' 振幅方程式に もとづく解の分岐特性などについて述べるとともに, 振幅方程式の妥当性などについても言及したい.


    ◎第2回

    日時: 平成19年7月6日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 第2会議室


    講演1 町田昌彦(日本原子力研究開発機構)
    時間 14:00〜15:30
    題目 微小ジョセフソン接合アレイと量子振り子の共鳴: 多次元シュレディンガー方程式の数値シミュレーション
    概要

     シュレディンガー方程式は量子力学の最も基本となる方程式 であることは、大学初年度に学習する。そして、それと同時に 三体以上の量子力学的粒子が相互作用する運動については、その 解が多変数関数となり、かつ、自由度が急激に膨らむため、厳密に解くことは 稀なケースを除いてあきらめざるを得ないことも知る。 しかしながら、現在、地球シミュレータ等の超並列計算機が開発され、 人類はかなりの規模の計算力を手にしたことから、上記のような、かつて あきらめざるを得なかった問題に対しても数値的にチャレンジすることができるよう になった。本講演では、これまでに直接、解かれた事のない 4体のシュレディンガー方程式により記述される4つの ジョセフソン接合アレイの運動に着目し、その数学的に同等な対象である 複数の振り子が相互作用しながら振動する場合の量子効果について議論し、 量子効果が系の同期を助けることを地球シミュレータのシミュレーション結果を 基に明らかにする。また、その結果と現実の実験結果との対応についても 議論する。


    講演2 野々村真規子(広島大学)
    時間 16:00〜17:30
    題目 空間パターンについて  ーマランゴニ対流モデルを中心にー
    概要

     これまで扱ってきた様々な系に対するモデル方程式を、空間パターンという視点から紹介する。 後半では、マランゴニ対流のモデルとして考案した方程式に対象を絞り、 周期パターンの種類やダイナミクスについて、数値計算結果を報告する。 AUTOで得られた分岐図についても合わせて考察していく。


    ◎第1回

    日時: 平成19年6月1日(金) 14時〜17時半
    場所:キャンパスプラザ京都 第2会議室


    講演1 森田善久(龍谷大学理工学部)
    時間 14:00〜15:30
    題目 Ginzburg-Landau 方程式のいくつかの話題について
    概要

     Ginzburg-Landau (GL) 方程式は巨視的な超伝導現象を記述するモデルとして超伝導理論では重要な役割を果たしてきた。数学的な研究もここ20年くらいの間に大きく進展し、いくつかの画期的な研究成果が報告されている。この講演では,超伝導の特徴的な現象がどのようにGL方程式の解として表現されるかを解説し、最近の数学的な研究の動向について概説したい。


    講演2 奥田孝志(大阪大学基礎工学)
    時間 16:00〜17:30
    題目 混合型境界条件下での複合モード定常解の不完全熊手型分岐について
    概要

     加藤,藤村らは熱対流の問題を"partially-nonslip 境界条件"の下で考え,固有値曲線の非交差、および複合モード解の不完全熊手型分岐といった現象が起こることを示した。
     今回は2変数反応拡散方程式系において、それぞれの変数に異なる境界条件を与えた場合の定常問題について考える。自明解の周りで線形化固有値問題を考え,固有値曲線の非交差が起こることを示す。また,大域的な分岐構造を数値的に調べた結果を紹介する。さらに他のモデル方程式においても同様の構造(固有値曲線の非交差、複合モード解の不完全熊手型分岐)が見られることを報告し,これらの現象が起こるメカニズムについて考察したい。