京都駅前セミナー

〜非線形現象の数理を考える〜

 

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◎第41回

日時: 平成24年 2月21(火) 13時30〜17時40 (今回は3名の講演者です.いつもと曜日・開始時間が違います.)
場所: キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

宮路 智行(京都大学・数理解析研究所

時間

13:30〜14:40

題目

Lugiato-Lefever方程式に対する分岐解析

概要

Lugiato-Lefever方程式は,散逸項と入力場を伴う三次の非線形シュレーディンガー方程式である.

これは非線形光共振器におけるパターン形成のモデルとして提案された.あるパラメータ領域では

多くの安定及び不安定な空間局在的定常状態が共存することが数値計算により知られている.

本講演では,空間一次元及び二次元における方程式に対するいくつかの数値計算と分岐解析の結果

を紹介する.本研究は大西勇准教授(広島大学)ならびに堤誉志雄教授(京都大学)との共同研究

に基づく.

講演2

杉山 由恵(大阪市立大学・理学研究科)

時間

5:00〜16:10

題目

Asymptotic stability of stationary solutions to degenerate Keller-Segel systems

概要

走化性をもつ細胞性粘菌の凝集現象を記述する数理モデルであるKeller-Segel系で,特に退化性を

有する方程式系を考える. 劣臨界指数においては,任意の初期データに対して時間大域的な弱解の

存在が知られている.そこで本講演では, 時間無限大における解の漸近挙動について考察する.

具体的には,解の漸近形は対応する定常方程式の非自明解となることを,退化型Keller-Segel系に

付随する変分構造に焦点を当てることによって明らかにする.

講演3

栄 伸一郎(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)

時間

16:30〜17:40

題目

無限次元空間における弛緩振動

概要

本講演では, ある種の走化性モデルに対して二つの空間パターンが時間周期的に交互に出現するような, いわゆる弛緩振動現象が存在することを理論的に示す. 従来, このタイプの現象は, S 字型の分岐構造が存在する場合にサドル.ノード分岐点付近で解がもう一方の分岐枝にジャンプするというものが主であったが, 本講演ではピッチ・フォーク型の分岐構造を持つ場合にも同様の振動現象が出現することを示す.この場合, 不安定解が残っているためジャンプする場所が非自明となる点に特徴がある.

 

◎第40回

日時: 平成24年 2月10(金) 14時〜17時半
場所: キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

泉 俊輔 広島大学大学院理学研究科・数理分子生命理学専攻

時間

14:00〜15:30

題目

タンパク質 A to Ms

概要

1)平岡さんの前座として,タンパク質の構造について原子(ATOM)のレベルで概説します。

2)蛋白質の機能を考えるときに,蛋白質分子の中の穴(キャビティ)が重要であることを示し,質量分析(MS)を用いた蛋白質の構造解析へのアプローチについてお話します。

3)放射線被爆のトリアージなど,蛋白質の質量分析法(MS)を用いた,最近のいくつかの結果をお話しします。

講演2

平岡 裕章(九州大学マスフォアインダストリ研究所)

時間

16:00〜17:30

題目

タンパク質構造とトポロジー

概要

本講演ではタンパク質の構造解析へ向けた計算ホモロジーの応用について解説します.タンパク質のファンデルワールス球体モデルはCech複体によってホモトピー型が決定するので,そのホモロジー群は数値的に求めることが可能となります.またファンデルワールス半径パラメーターが自然に1次元フィルトレーション構造を定めますが,これによりパーシステント・ホモロジー群も取り扱うことが可能となります.本講演ではこれらの基本的な道具を用いて以下の話題を考察します:

1. パーシステント・ホモロジー群とタンパク質の圧縮率の関係

2. 圧縮センシングを用いた最小生成元探査と空洞検出

 

◎第39回

日時: 平成24年 1月26(木) 14時〜17時半 (いつもと曜日が違いますのでご注意ください)
場所: キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

友枝 明保(明治大学研究・知財戦略機構 / JST CREST

時間

14:00〜15:30

題目

錯視現象の社会への積極的応用:Hollow face錯視

概要

Hollow face錯視とは、凹面の顔が普通の凸面の顔として知覚される錯視現象である.

特に,凹面の顔に対して,下から照明をあてることで,陰影を反転させることができ,

錯視効果を強めることもできる.本講演では,Hollow face錯視を応用した新しい

立体標識の作り方について紹介する.

講演2

新井 仁之(東京大学大学院数理科学研究科)

時間

16:00〜17:30

題目

視知覚と錯覚の数学的研究 - 数理視覚科学の確立とその応用 -

概要

物理現象・化学現象など外的現象の数学的研究は,数学の進歩と密接に関連しながら発展してきた.

一方,知覚など脳内で生ずる内的現象に関する数学的研究はまだそれほど多くはない.筆者は

視覚による知覚のメカニズムを数学,視覚科学,脳科学,知覚心理学,コンピュータ・ビジョンと

の協働により研究する『数理視覚科学』という新しい分野を提唱している.本講演では,これまでに

得た視知覚,及びそれが引き起こす錯覚のメカニズムに関する研究結果とその応用について述べる.

参考サイト:錯視の科学館

http://www4.ocn.ne.jp/~arai/Exhibition/illusiongallary4.html

 

◎第38回

日時: 平成23年 12月9(金) 14時〜17時半
場所: キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

田崎 創平(大阪大学大学院・基礎工学研究科

時間

14:00〜15:30

題目

混合脂質二重膜の相分離弾性系

概要

飽和リン脂質、不飽和リン脂質、およびコレステロールの3成分脂質二重膜において、秩序液体相が無秩序液体相から

分離することによって、様々なマイクロドメイン構造が現れる。ここで、秩序液体相は飽和リン脂質とコレステロールに

富む脂質ラフトとよばれる領域である。無秩序液体相は、脂質ラフトを取り囲む、不飽和リン脂質を多く含む領域を表す。このような膜内の不均一性が、生体膜において、シグナル伝達、物質輸送、細胞極性などに関して重要な役割を担って

いると考えられている。

 マイクロドメインの形成と崩壊の過程を調べるために、混合脂質二重膜に関する相分離弾性系モデルを提案する。数値

シミュレーションでは、多様なマイクロドメイン構造の組み合わせが形成されるとともに、多くの場合に微細構造が最終

的に壊れてしまうほどの強い粗大化が起きる。これらの現象について、定常状態の総体の構造から論じる。ある特徴的な

二次分岐構造や最小エネルギー状態について述べ、系のもつ弱い長距離相互作用を明らかにする。

講演2

安間 淳(広島大学大学院・理学研究科)

時間

16:00〜17:30

題目

非線形境界効果を持つ反応拡散系のパターン形成

概要

非線形反応拡散系のパターン形成に関する研究の多くは、境界条件として斉次ディリクレ条件、斉次ノイマン条件、または周期

境界条件を課している。一方、境界上で触媒による自己触媒反応に起因する現象を考える場合には、境界上の反応と共に領域外

からの移流の効果があるはずである。そこで本講演では、境界を横切る反応物質のフラックスが境界における反応物質の濃度に

非線形に依存するような境界条件の下で、反応拡散系を考察する。境界上の非線形なフラックスと領域内部の拡散との相互作用

に焦点を当てるため、内部では拡散のみが起こると仮定した問題に対して、定常状態からの分岐に関する結果を、例を交えて紹介

する。なお、本講演は広島大学理学研究科の坂元国望教授との共同研究に基づくものである。

 

◎第37回

日時: 平成23年 11月11日(金) 14時〜17時半
場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

岩見 真吾 (JST・さきがけ、東大・数理、京大・ウイルス研)

時間

14:00〜15:30

題目

ウイルス感染と常微分方程式

概要

近年、ウイルス学における臨床・動物・細胞実験から得られたデータは、数理モデルを用いて頻繁に解析されるようになってきた。これら実験データの解析では、ウイルス感染ダイナミズムにおける様々なパラメーターを推定することで、通常のウイルス学的解析手法からは、知り得ない定量的情報を得ることが可能になるからである。ここでは、まず、ウイルスダイナミクスを記述する基本的な微分方程式系を紹介し、その安定性、及び、背後に存在する力学的構造を概説する。そして、ウイルスダイナミクスを特徴づける指標を定式化し、実際にウイルス感染実験データから推定されたこれらの値がウイルス疾患研究においてどのような役割を果たすのかをいくつかの例を交えて紹介していく。

これまで日本の数学モデリングは、生物学などに使われている数理モデルを材料にして数理的に解析するという事を行ってきた。しかし数理モデルに表され・仮定されている量を測定して、数理モデルが実際の状況で記述力を持ち・予測力を持つ事を実証する事は、数理科学として極めて重要な研究であり、応用数学の未来を切り開くものである。私は、この様な研究が達成されると、自然科学の多くの分野、特に、医学分野において、応用数学や数理科学的アプローチの有用性が確立されていくと考えている。

 

講演2

吉川 研一 (京都大学大学院理学研究科)

時間

16:00〜17:30

題目

非チューリング・シナリオ:形態生成の新モデル

概要

チューリングはブール代数を基本とする計算機械(チューリングマシン)の研究を纏めたあとは、生物の形態形成のモデル化に情熱を傾けた。1952年に提唱されたモデルは、反応項と拡散項が競合する条件下では、負の拡散が起こり、定常的なパターンが生じるとするものである。必要条件は、inhibitorの拡散が支配的であることである。チューリングパターンと呼ばれているこのモデルでは、空間軸を実数連続にとっており、細胞が有限のサイズを有していることが無視されている(空間連続な偏微分方程式)。また、反応や拡散パラメータが与えられると、一定の波数の安定解が決定され、履歴や境界条件に対する依存性は弱い。

本講演では、細胞のサイズを考慮した上で、隣接する細胞間のコミミュケーションを繰り込んだ形となっている、空間離散型のモデル(非チューリング・モデル)を紹介したい。このモデルでは、細胞同士がactivatorを介して相互作用することで、定常的なパターンが生成される。また、細胞集団の成長の時間過程や、境界条件により、生じるパターンが大きく異なり、生物の形態形成でしられている事実を良く説明することが可能となる。

 

◎第36回

日時: 平成23年 10月21日(金) 14時〜17時半
場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

久藤 衡介 (電気通信大学 情報理工学研究科)

時間

14:00〜15:30

題目

交差拡散を伴う Lotka-Volterra 競争系の定常問題

概要

棲息領域で縄張り争いをする2種類の生物の空間的拡散は、 自種のみならず競争相手となる種の個体群密度にも依存する。 その意味で、人口モデルの反応拡散系の中には、 拡散項に「交差拡散 (cross-diffusion)」と呼ばれる 種間の相互作用を伴うものがある。 代表例は、1979年に Shigesada-Kawasaki-Teramoto によって提唱されたモデルで、 Lotka-Volterra 型の反応項と交差拡散を含む拡散項から 構成されている。 本講演では、この反応拡散系の定常問題を Dirichlet 境界条件の下で考察し、

・共存定常解の(交差拡散に独立な)アプリオリ評価

・共存定常解が存在する係数領域の交差拡散への依存性

・交差拡散を無限大にしたときの共存定常解の漸近挙動

に関する結果を紹介する。特に、3つ目の話題については、 関連する極限系の大域分岐構造について言及する。 本講演は、早稲田大学理工学術院の山田義雄氏との共同研究に基づく。

 

講演2

今 隆助(研究推進員,明治大学グローバルCOEプログラム)  

時間

16:00〜17:30

題目

年齢構造を持つ捕食者・被食者モデル:周期ゼミの問題

概要

周期ゼミはアメリカ東部に生息する蝉であり,昆虫の中では飛びぬけて長い寿命 を持っている.13年又は17年という素数周期で一斉に羽化することでも有名であ る.ある仮説は,素数周期は2年や3年の周期を持つ捕食者を避けるために有利で あると説明してる.本研究では,年齢構造を持つ捕食者・被食者モデルを解析 し,この仮説の妥当性について検証した.解析の結果は,周期的な捕食圧の下で は,素数周期の被食者のほうがそうでない被食者と比べて不利であることを示唆 している.つまり,周期的な捕食圧だけでは,周期ゼミの素数周期を説明できな いことが分かった.時間があれば,年齢構造を持つ生態系モデルのLotka- Volterra方程式による近似手法についても詳しくお話したい.

 

◎第35回

日時: 平成23年 7月8日(金) 14時〜17時半
場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

三浦 岳(京都大学大学院医学研究科)

時間

14:00〜15:30

題目

肺の枝分かれ構造の形成機構

概要

脊椎動物の肺は樹状構造をしている.この構造は、上皮と呼ばれる気道系を構成す るシート状の組織と、間葉と呼ばれる上皮を取り囲む組織の複雑な相互作用によって形成 される.この枝分かれ構造の形成に関わる遺伝子は多数同定されているが、それらの相互作用 によってなぜ枝分かれ構造ができるのか、そのメカニズムは明らかではない.我々は、 1. 実験系自体を単純化する 2. 本質的に重要な遺伝子(FGF10)を選び出す という戦略で、 肺の枝分かれ構造形成のメカニズムを探求して来た.本講演では、初期の肺上皮のみの培 養系のモデルから、最近の上皮間葉間相互作用の定式化まで、研究の流れを概観したい.

 

講演2

平島 剛志(京都大学大学院医学研究科)

時間

16:00〜17:30

題目

腎臓と肺の形態形成の数理モデル

概要

ほ乳類の腎臓や肺の初期発生段階では、上皮細胞で構成される管が間充織で局在 する分岐誘導因子の活性を受けて、枝分かれのかたちを作ることが知られている。その際、 1.分岐誘導因子の空間的な局在位置が決まり、2.その局在に向かって上皮の管が正確 に伸長する ことが、腎臓や肺の分岐形態形成の主要な過程とみなすことができる。本セミナ ーでは以上の二つの過程に関する簡単なモデルを紹介する。

 

◎第34回

日時: 平成23年 6月17日(金) 14時〜17時半
場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

大下承民(岡山大学)

時間

14:00〜15:30

題目

ミクロ相分離における粗大化・安定化・中心移動

概要

本講演では,ミクロ相分離というミクロスケールでのパターン形成問題を扱う.ブロック共重合体の相領域が小さい球面あるいは円柱の集まりになる場合を考察する. 体積分率が小さいときの時間発展は,ある時間スケールにおいては,粗大化と半径の安定化により支配され,中心移動はずっと大きい時間スケールでのみ影響を及ぼす ことがわかる.本講演ではまず,この粗大/安定化を記述する三つの平均場モデル(希薄バージョン,その空間非一様拡張バージョン,および中心移動まで含むバージョン) について概説した後,それらが確率測度の空間における勾配流とみなせること,および希薄バージョンの平均場モデルに対するすべての平衡状態と, 初期値問題の解の収束結果についてお話する.

 

講演2

千葉逸人(九州大学 MI研究所)

時間

16:00〜17:30

題目

Gelfand triplet上のスペクトル理論

概要

Gelfand tripletと呼ばれる、線形位相空間の3つ組上での線形作用素の スペクトル理論を展開する。通常、作用素のスペクトルは、C上における レゾルベントの特異点集合として定義されるが、Gelfand triplet上では、 レゾルベントが複雑なRiemann面を持ちうる。そこで、Riemann面全体を 見渡した時のレゾルベントの特異点集合を一般化スペクトルと呼ぶ。 一般化スペクトルは、普通のスペクトルと同じくらい、作用素についての 重要な情報を持っており、これを用いることで従来は見えなかった現象を 捉えることができる。 講演では、これを非線形力学系の解の安定性と分岐理論や、シュレディンガー 方程式の共鳴極(resonance pole)や埋蔵固有値問題などに応用する。

 

◎第33回

日時: 平成23年 5月13日(金) 14時〜17時半
場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

合原一究(理化学研究所)

時間

14:00〜15:30

題目

アマガエルの合唱に潜む時空間構造の研究

概要

ニホンアマガエルは日本全域に生息しており、春から夏にかけて水田で鳴き交わ す様子を観察できる。オスのアマガエルは単独では強い周期性を持って鳴く一方 で、鼓膜を備えており周囲の音声情報を認識できる。そのため、複数のオスガエ ルによる発声行動は、単独では周期的に振る舞う位相振動子が互いに相互作用す る結合振動子系として数理的に理解できるだろう。本発表では、アマガエル2体系 およびフラストレーションが内在するアマガエル3体系に関する数理・実験研究を 概説する。さらに、最近行っているアマガエルの多体系に関する数理研究および 新規な音声視覚化素子「カエルホタル」を用いたフィールド調査についても、予 備的なデータを交えながら議論させていただきたい。

 

講演2

長山雅晴(金沢大学)

時間

16:00〜17:30

題目

角層形成の数理モデル

概要

皮膚の重要な機能としてバリア機能がある. バリア機能は水分保持という生命維持に重要な機能も有しており, このバリア機能は角層と角質細胞の間を埋めている細胞間脂質が担っている ことが知られている.最近の研究において, バリア機能の維持に表皮細胞質内カルシウムイオンが重要であることがわかって きた. 本研究ではバリア機能を担っている角層の恒常性維持機能と 角層破壊からの回復機能に対してカルシウムイオンをポイントにした 数理モデルを構築し,バリア機能の維持と回復についての数理的理解を目指す.

 

◎第32回

日時: 平成23年 4月29日(金) 14時〜17時半
場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

中口悦史(東京医科歯科大学教養部)

時間

14:00〜15:30

題目

弱い減衰を持つ走化性・増殖方程式の解の大域的存在

概要

2 次元有界領域においてKeller-Segel 系に代表される走化性方程式を考える。増殖項を 持たないKeller-Segel 系では有限時間内に爆発する解が存在するが,Mimura-Tsujikawa 系のようなロジスティック型の増殖項をもつ走化性方程式では,すべての非負値解が時間 大域的に存在する,ということが知られている。本講演では,2 次より弱いロジスティッ ク型増殖項と,非線形の誘引因子分泌項をもつ走化性方程式を考え,どのような条件の 下で非負値解の時間大域存在が示されるかについて,考察した結果を紹介する。なお本 講演は関西学院大学・大崎浩一氏との共同研究に基づくものである。

 

講演2

村川秀樹(九州大学大学院数理学研究院)

時間

16:00〜17:30

題目

非線形拡散問題の反応拡散系近似とその数値解析への応用

概要

氷の融解・水の凝固の過程を記述するステファン問題, 地下水の流れを表す多孔 質媒体流方程式, 2種生物種の競合問題における互いの動的な干渉作用を記述す る重定-川崎-寺本交差拡散系など, 様々な問題を含む非線形拡散問題を取り扱 う. 本講演では, 非線形拡散問題の解が, 拡散が線形である半線形反応拡散系の 解により近似されることを示す. この結果は, 非線形拡散問題の解構造が, ある 種の半線形反応拡散系の中に再現されることを示唆するものである. この研究 で, 反応拡散系を用いることで, 非線形拡散問題の解析を困難にしている拡散の 非線形性を取り除くことができた. そのため, この近似理論は非線形問題の解析 や応用に役立つ可能性がある. 実際に数値解析への応用が有効であることが分 かった.提案する反応拡散系を用いることにより,一般的な問題に適用できる汎 用的で簡便な数値解法と,退化放物型問題に対して効率的に高精度な数値解を求 めることができる数値解法を構成し,解析した.