本研究では、株価モデルや生物集団モデルなどで用いられる確率微分方程式(SDE)において、解が負値を取らないように設計された数値スキームを対象とする。従来のEuler–Maruyama法やMilstein法では数値解が負値になる恐れがあるが、我孫子–石渡による変数変換手法(対数変換など)を用いることで正値性を維持できる。この手法に対して、数値実験を通じて期待値や分布面での精度(弱収束)を検証した。また、パスレベルでの精度(強収束)を仮定しない状況下でも弱収束が保たれていることを論理的に示した。
「確率微分方程式の正値性を保つ数値スキームの弱収束性」合田宗矢