幾何学の研究の中には、「小谷の蟻の問題」がある。立体の表面を歩く蟻が直方体の頂点にいるとき、蟻から最も遠い地点はどこかという問題である。以後、‘‘最も遠い地点’’を最遠点と呼ぶ。この答えは直感的に、蟻と反対側の頂点が最遠点だと考えるだろう。しかし、縦に長い直方体の場合、蟻が下の面を構成する頂点にいるとき、上の面の内部に最遠点が存在することがある。この結果に興味を持ち、本研究では三角形二面体と正方形二面体の最遠点を求めた。また、蟻のいる始めの地点を基準点としたとき、そこからの最短経路が2通り以上ある地点の集合を切って展開したボロノイ展開についても考えた。