セミナーの案内 「可積分系と美的形状の幾何」

題目 :可積分系と美的形状の幾何
講演者:梶原 健司(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)
日時 :2020年1月18日(土)10:00 – 11:30
会場 :龍谷大学瀬田学舎1号館5階534号室
概要:
この講演では,工業意匠設計分野で研究されてきた対数型美的曲線(LAC)と呼ばれる平面曲線の族を取り上げ,その1つの数学的な意義付けと,それを用いた空間曲線や曲面への拡張の試みについてお話したいと思います.
ユークリッド幾何において,オイラーの弾性曲線と呼ばれる平面曲線の族があります.曲率の2乗で与えられる弾性エネルギーによる変分原理で特徴付けられ,また,曲線の弧長を保つ変形のもっとも簡単なものである,変形KdV方程式による変形の進行波解に対応する曲線族として得られます.一方,LACは工業意匠設計の研究者が車のデザイナーが美しいと感じる数千の曲線から共通の性質を抽出して得られた概念で,曲率半径のベキが弧長の一次式で与えられる曲線族と定義されます.
最近,講演者らの研究グループは,LACをユークリッド幾何ではなくクライン幾何の1つである相似幾何の枠組みで定式化を試みたところ,オイラーの弾性曲線の類似物というべき性質をもつことがわかりました.すなわち,LACは相似幾何においてBurgers方程式で記述される,平面曲線の可積分変形の進行波解で特徴付けられ,「フェアリングエネルギー」と呼ぶエネルギー汎函数による変分原理による定式化が可能です.我々は,この定式化に注目してLACの空間曲線の拡張を行い,現在「美的曲面」ともいうべき曲面への拡張と,その設計分野への展開を研究中です.
この講演ではこのような,可積分系による「美的形状」の幾何について議論をしたいと思います.