京都駅前セミナー

〜非線形現象の数理を考える〜

 

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◎第70回

 

日時: 平成29年 12月1日(金) 14時00分〜17時30分
場所:キャンパスプラザ京都 6階第7講習室

講演1

伊藤 涼(東京大学大学院数理科学研究科)

時間

14:00〜15:30

題目

進行波の最小速度の Young 測度による解析

概要

本講演では,KPP 型の非線形項を持つ反応拡散方程式を考える.この方程式は外来生物の侵入モデルに現れ,波面の形状を周期的に変化させながら進む進行波と呼ばれるタイプの解を持つこと,またそれらの進行波の平均の速度のうちで最小のもの(以下,これを「最小速度」と呼ぶ)が存在することが知られている.さらに,コンパクトな台を持つ非負の初期値から出発した解の波面の広がり速度(spreading speed)が進行波の最小速度に一致することがわかっている.生態学モデルの観点からは,波面の広がり速度は外来生物の侵入速度を表し,この速度は外来生物の内的自然増加率に依存することが知られている.本講演では,内的自然増加率が光量や熱量などのコントロールできる環境パラメータに依存する場合について考え,環境パラメータの平均値が一定という制約条件の下で,広がり速度を最小化(あるいは最大化)する環境の配置を決定する問題について,得られた結果を紹介する.

 

講演2

千葉逸人(九州大学IMI(マス・フォア・インダストリ研究所))

時間

16:00〜17:30

題目

ネットワーク上の蔵本モデルの同期現象

概要

蔵本モデルは同期現象を記述する代表的な数理モデルである。ここでは一般のグラフの上で定義された蔵本モデルを考え、グラフの連続極限や一般化スペクトル理論を用いて、そのダイナミクスを調べる。特に、グラフの離散構造がダイナミクスにどのように影響するのかを明らかにする。